研究概要 |
気相合成ダイヤモンドが工業的に利用されるためには、気相成長法によるダイヤモンド合成装置の研究開発が必要かつ急務である.しかし,工業材料としてのダイヤモンドを合成する装置を開発することを目的とした研究は少ないのが現状である.研究代表者は,これまでにアーク放電プラズマジェットを利用したダイヤモンド合成装置を試作しており,本研究は,これまでに試作した装置により得られた成果や問題点をもとに,高速・広範囲に高純度のダイヤモンドを合成する装置を試作し,その工業的実用化を目指すことを目的としたものである. 本年度は,試作するダイヤモンド合成用マルチアノード型アーク放電プラズマジェットCVD装置の設計を完了させ,同装置の製作のほとんどを行った.試作装置は,プラズマソース,電力供給系,ガス供給系,真空排気系,冷却水供給系および真空容器からなる.直径約500mmの真空容器には,原料の炭素を励起するためのプラズマソース取り付けポートのほか,炭素を気化するためのレーザ光導入窓およびイオンビーム導入口を設置した.設計,製作した装置は,アブレーションやスパッタリングにより固体ターゲットから気化された炭素を,プラズマソースから供給される数十Aの電子を含むプラズマジェットによりさらに励起し,基板上でダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボンを形成させる構造となっている.
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