研究概要 |
本年度は,はじめに融点47℃のUアロイを電気信号によって噴射するノズルの設計と製作を行った.ノズルの原理は,圧電アクチュエータによって容積を変化させることができるチャンバーに直径200μm程度のノズルを設け,内部を溶融メタルで満たした状態で圧電アクチュエータを駆動してノズルから液滴を噴射させるものである.このような装置でメタルの噴射のための最適な駆動電圧やその波形,溶融金属の温度などの諸条件の探索を行い,直径およそ400μmの溶融メタル液滴を安定して噴射できる条件を見い出した.また噴射された液滴の状態を調べるために,高速度ビデオカメラ用いた撮影や基板に付着して凝固した粒子の顕微鏡観察を行い,飛翔の液滴の速度は毎秒数m程度でノズルの駆動電圧にほぼ比例すること,飛翔中は液滴の形状が変化しないこと,駆動電圧によっては一回のノズルの駆動によって複数の液滴が噴射される結果,基板上の粒子が広い領域に散らばってしまう場合があり,造形時にはこのような状態にならないような条件の設定が必要なことなどがわかった.さらに,これらの粒子を基板上に平面的に堆積した上で高さ方向に積層し,さまざまな3次元の構造体をつくり出すことに成功した.これらの試料の密度測定を行った結果,空間充填率に換算して95%以上もの値を達成していることがわかった.さらに、ノズル径を当初の200μmから50μmへ小さくすることで金属粒子の直径を約40μmへと微小化させる事に成功し,このノズルを用いて造形精度の高い構造物を製作できたほか,微細な構造物への応用が可能であることを示した.今後は,ハンダ等の実材料を噴射できるようにノズルの改良を行い,これを用いた三次元電気配線への応用を試みるほか,メタルジェット方で作製した試料の機械的性質の評価を行う予定である.
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