研究概要 |
本研究では,当研究室で提案している宇宙機械のための新しい潤滑法-トライボコーティング潤滑-の実用評価及び潤滑機構の解明を目的としている. 1年目の一昨年は,本トライボコーティング膜が,宇宙機械で実用とされる接触圧力条件(0.5-2GPa)とすべり速度(5-65mm/s)において0.15以下の十分有効な低摩擦係数を与え,かつ,トライボコーティングのその場供給により,半永久の寿命を保証できることをすべり摩擦実験において明らかにした. 2年目となる昨年は,すべり摩擦において実用条件下でも有益と考えられる本潤滑システムの転がり軸受の応用の可能性を評価するための新しい装置の設計・試作及び性能評価を行った. これに引き続き最終年度は,この装置によりトライボコーティング潤滑法の実用の可能性の評価を行い,次の結果を得た. 1.従来使用されている銀のイオンプレーティング膜を施した転がり軸受けと比較し,本トライボコーティング潤滑を行った転がり軸受けは,摩擦係数の値及びその安定性において,十分優れていることを実証した. 2.転がり軸受けにおいても,本トライボコーティング膜のその場供給により,低摩擦を半永久に持続できることを実証した. 3.従来の総ステンレス製の玉軸受けと比較し,球に窒化ケイ素を用いたハイブリッド型玉軸受において,トライボコーティング潤滑の有効性が示されることを明らかにした. 4.従来の保持器を用いた玉軸受けと比較し,保持器のない総玉軸受けにおいて,トライボコーティング潤滑の有効性が示されることを明らかにした.
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