研究概要 |
現在、CDやDVDなどの高密度光記憶装置が普及しているが,高画質の動画を長時間にわたって記憶するような用途には,これらのメディアは記憶容量が不足している。これらの光記憶媒体は記憶容量が原理的な限界にほぼ達しており,新しい超高密度記録方法が求められている。そのような手法として,我々は石英ガラスを用いた三次元光記録方法を提案し,研究を行っている。これまでに,ピコ秒およびフェムト秒のレーザーパルスによりコントラストが高く通常の光学顕微鏡で認識が可能なビットが石英ガラス中に生成し,これを用いて三次元記録が可能なことを報告してきた。これらに加え,ビットが光励起により発光を示すことを見出し,これを使った読み出しについて検討を行った。 多数のビットを書き込んだ石英ガラスを試料として,蛍光分光光度計で250nmの光を照射して発光スペクトルを測定したところ,283nm,468nm,558nmにピークを持つ3つの発光バンドが観測された。これらのバンドの発光強度はビット書き込みのパルス強度に依存し,書き込みを行っていない試料からは観測されないことから,ビットからの発光であることが確認された。次にこの発光によるビットの読み出しを試みた。励起光として400nmのレーザー光を用いて蛍光強度の二次元マッピングを行ったところ,明視野で観測されるビットのパターンが同様に観測された。多層にわたってビットを書き込んだサンプルでは,各層のビットパターンを独立に読み出すことが可能であった。
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