研究概要 |
本研究では、結晶格子を走査型プローブ顕微鏡で読みとり、それを用いた測長機構を実現することを目的としている. いままでに実現した内容を列挙する.(i)結晶格子を基準としたxy位置決め機構、(ii)結晶格子像と試料像の比較による、比較測長機構の実現、(iii)2個の結晶像を比較することにより、100msオーダの走査時間では、99,95%の結晶格子数の一致が200nm程度の走査範囲で得られることの確認、(iv)レーザ光てこ機構を2個有する走査型力顕微鏡により、コンタクトモードで雲母結晶を観察したところ、摺動面の、原子レベルの軌跡の観察を可能とした、(v)前走査型力顕微鏡により、走査型力顕微鏡を用いたリニアエンコーダの構成を明らかにした、(vi)走査型力顕微鏡を用いたリニアエンコーダの実現の際の、結晶間隔を安定して読みとるための摺動界面の組み合わせの実験を行った、(vii)走査型力顕微鏡で雲母の格子間隔をエンコーディングする場合、固有振動数22kHz、バネ定数0.1N/mの短冊形カンチレバーを用いた場合、1ミクロン/秒まで、読み飛ばしがないことを確認し、この速度の決定要因を調べた. 以上の研究成果をふまえ、1軸型リニアエンコーダで、数10cm立方に収まるものを実現し、それを一つのモジュールとし、必要な軸数だけ既存の装置に組み込む手法を実現することが、構想の測定方法が広く用いられるために有効であると考えた.現在、特に、エンコーディングの安定度と速度の向上のためにカンチレバーの機械特性と、界面の組み合わせに焦点を絞って研究を進めている.特に、カンチレバーに関しては、MHz以上の固有振動数と、意図したバネ定数を有するものを独自に実現している.
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