研究概要 |
結晶格子の周期性を基準に用いて位置決めや測長・変位計測を行う手法を研究した.結晶を検出する手段として走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope,以下STM)および原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope,以下AFM)を試した.今年度は大気中てもAFMで容易に結晶の周期性を観察できるマイカ(雲母)およびグラファイトを用いた実験を行った。まず酸化シリコン製のAFMカンチレバーの押しつけ圧とマイカの摩耗との関係を調べ、押しつけ圧が50nN以下であれば数十時間観察し続けても表面の摩耗がおきない事を確認した。また押しつけ圧が100nNを越えると数回の走査で最表層が剥離するが、その下の層の結晶周期が観察できる事もわかった。マイカの場合、走査速度1μm/s以上では読み飛ばしが発生して正確な周期の検出ができなくなる。この原因がマイカの親水性にあると考えられたため、疎水性のグラファイトを用いて同様の検討を行ったところ、走査速度が20μm/sでも読み飛ばしなく周期を検出できることがわかった。グラファイトの場合、約0.25nm間隔の周期性がカンチレバーの固有振動数に一致する場合に周期性の検出が困難となる。現在使用している市販のAFMカンチレバーは走査時の固有振動数が約100kHzであり、グラファイトの走査速度25μm/sに相当する。 一ミクロンから100nm程度の大きさのナノ振動子を実現した。これにより、コンプライアンスが高く、固有振動数が数MHzからGHzの力検出素子が得られた。これをリニアエンコーダの格子読みとり用素子に用いると、数cm/sのカウント速度が実現できることになり、高い実用性と耐久性が得られることになる。 また、レーザ測定器との長さの校正をおこなった。
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