| 研究概要 |
(1)既往の鉄筋コンクリート2次元解析モデルでは,独立2方向ひび割れまでを考慮可能であったものを,さらに独立4方向にまで,構成モデルの適用範囲の拡大を図った。この開発では新たにactive crack法を考案し,任意の交番繰り返し載荷に対して十分な安定性を有するものとした。独立3方向および4方向にひび割れを円筒シェルに導入するとともに,交番せん断応力経路を加え,解析結果による変形と実験との比較を行い,十分に実用に堪える精度を有していることを確認した。
(2)コンクリートひび割れ以後の引張応力伝達機構については,tension-stiffnessモデルが開発されている。これまでの2方向に鉄筋が分散配置されている領域での適合性は実証されていたが,今回,鉄筋が局所配置されている状況にも適用性を拡大した。すなわち,付着効果が及ばない領域を限界鉄筋比の考え方を導入して,任意配筋におけるzoning手法を提案した。これは一般3次元状態ではまだ検証されておらず,次年度で詳細に詰める予定である。
(3)構造物の立地条件と地盤条件,並びに基盤の特性と震源位置から,入力地震動を推定する一環したシステムをほぼ構築した。これを用いて阪神大震災で被災した鉄筋高架橋60橋余りをチェックし,構造応答解析手法とあわせて検証を行っている。
(4)かぶりコンクリートの剥落と鉄筋の座屈が,ねじりと交番せん断を受けるRC柱の靱性に及ぼす効果を,3次元解析と実験結果との比較から考察を行った。 特に,中空函型構造に対してかぶりコンクリートモデルの重要性をチェックし,ねじりが連成する場合は,この効果を数値解析に正しく反映させる必要性を明確にした。
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