研究分担者 |
鈴木 雄一 古河電工株式会社, 横浜研究所, 所長(研究職)
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
小林 和雄 株式会社 富士通研究所, ペリフェラルシステム研究所, 主管研究員
星 俊治 ヤマハ株式会社, 研究開発本部・材料研究所, 副所長(研究職)
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研究概要 |
Cu-Al-Mn系のβ相には、A2/B2/DO_3/L2_1間の規則-不規則変態、それらの間の相分離、さらにL2_1相内の磁気変態等興味深い様々な現象が存在する。本研究は、これらの相変態を複合的に利用する事により、従来に無い新しいタイプのCu基合金の開発を目指すものであり、高強度材料、形状記憶合金および巨大磁気抵抗薄膜材料をターゲットとした研究をおこなった。得られた結果は、以下の通りである。 (1)高強度材料について: Cu-13at%Al-15at%Mn-5at%Ni合金を300℃附近で低温時効することによって、引張強度が1000Mpa以上の高強度材料となることがわかった。また、この組織を透過電子顕微鏡で調査したところ、ベイナイト変態によると見られる、極めて微細な組織が観察されたことから、このような高強度化の原因は、組織の微細化によるものと結論できる。従来においてこれ程の強度はCu-Be系で得られるのみであり、本合金は有害なBeを含まない新しい高強度材料として期待できる。 (2)形状記憶合金について: Cu-17at%Al-10at%MnにTi,V,Cr,Fe,Co,Si,Mo,Au,Ag等を添加した時の加工性、Ms温度及び形状記憶特性を調査した。その結果、析出が生じる場合には加工性が低下し、Si、Au及びCoを添加した時のみ、変態温度が上昇することがわかった。また、形状記憶特性は結晶粒径に大きく依存し、結晶粒は粗大なほど特性が良いことがわかった。 (3)巨大磁気抵抗(GMR)薄帯材料について: 急冷凝固法により、様々な組成のCu-Al-Mn合金についてGMR効果を調査した。その結果、強磁性のCu2MnAlと非磁性のCu_3Alの体積比が、およそ3:7であるCu-25at%Al-10at%Mn合金組成近傍で4%程度の良好なGMR効果が得られた。また、Al濃度が25%から外れる場合についても調査したが、その結果、25%からのずれが大きいほど特性の劣化が見られた。 以上の基礎的な研究に基づき、現在企業の現場の設備を用いて,溶解,圧延,二次加工,熱処理など実用化のための試験を行っている。
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