研究分担者 |
村上 健児 大阪大学, 産業化学研究所, 講師 (60112067)
太田 健一 大阪大学, 産業化学研究所, 助手 (10150351)
シュプレゲル ウォルフガング 大阪大学, 産業化学研究所, 助手 (70250636)
峯 一臣 (株)システム・サービス, 主任技師
池田 輝幸 大阪大学, 産業化学研究所, 助手 (40314421)
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研究概要 |
本研究は,加圧ガス雰曲気下における金属の溶融状態と凝固状態におけるガス原子の溶解度差を利用して直線的な微細孔を有するポーラス金属を作製し,ポーラス化による材料の軽量化および機能化という新しい手法を開発することを主な目的としている.具体的な本研究の第1の目的は金属・合金のポーラス化の基本原理を実験的あるいは理論的に発見し,解明することであり,さらには,その基本原理に基づいて種々の金属・合金のポーラス化の製法を確立することである.本研究の第2の目的は,高強度の優れた加工性を有するポーラス金属・合金を作製し,その応用の探索を行うことである. これまでの3年間の成果を要約すると,次の通りである. 1.水素加圧雰囲気中で金属を溶解し,一方向凝固させることによってサイズの均一な,直線的な微細孔を有するポーラス銅,ポーラス鉄ポーラスニッケルとそれらの合金を作製することに成功した. 2.ポーラス銅の引っ張り強度,降伏強度を微細孔の方向と平行あるいは垂直に切り出した試料について系統的に調べた.従来の発泡金属や焼結金属に比べて格段,優れた強度を有することを明らかにした. 3.強制振動法によりポーラス銅の内部摩擦を測定した結果,400℃付近にQ^<-1>が0.1〜0.15程度のきわめて大きな内部摩擦ピークを発見した.これは微細孔内に取り込まれた水素が銅中に解離し水素原子対を形成して移動するためであると結論づけた. 4.従来は水素を用いて金属をポーラス化する方法がとられていたが,我々は爆発性のない安全な窒素雰囲気でポーラス鉄を作製することに世界で初めて成功した.できたポーラス鉄は窒素による固溶強化により優れた強度を有することを見出した. 5.ポーラス金属を構造材料,機能性材料として実用化するためにはより大型のポーラス金属を作る必要がある.本年度は鉄換算で5kgのポーラス鉄を作製できる大型ポーラス金属作製装置を製作した.
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