研究概要 |
(1)サイアロンの焼結体の組成制御による耐腐食性の付与 トパーズをフッ素源として用いSi_3N_4とAlNと反応させると1770℃でz=0.4組成のβ-サイアロン単一相が得られた。TEM-EDXによるとフッ素はガラス相に存在していることが分かった。Si_3N_4/SiO_2混合物にAlF_3を加え1500℃で反応させると単一相のo-サイアロン結晶とフッ素を含むガラス相からなる焼結体が合成できた。Si_3N_4/AlN/Y_2O_3混物にAlF_3を添加し、1780℃で反応させるとα-/β-サイアロンが生成し、単一相のα-Y-サイアロンは生成しなかった。単一相のFドープβ-サイアロンの腐食を行った結果、腐食層は数μmに抑えられ非常に高い耐腐食性を示した。 (2)H_2Oを含む雰囲気下でのサイアロン酸化機構の解明 β-サイアロン(Si_<6-z>Al_zO_zN_<8-z>(z=1,2,3))とY-α-サイアロン(Y_<0.54>Si_<9.57>Al_<2.43>O_<0.81>N_<15.19>粉末を、水蒸気を含む雰囲気(Ar/O_2/H_2O=70/20/10kPa)中、1000〜1300℃の条件で酸化を行い酸化を速度論的に考察し、生成相の同定と微細構造観察から水蒸気による酸化の促進効果を検討した。Z値が1,2,3のβ-サイアロン粉末をwet雰囲気中で酸化すると、^<29>Si MAS NMRスペクトルからムライトと非晶質のSiO_2が生成していることが分かった。H_2^<17>Oを含むwet酸化による生成物の^<17>O MAS NMRスペクトルから、H_2Oは強力な酸化剤として働き、H_2OのOは等分にSiO_2とムライトを形成することを明らかにした。酸化を速度論的に考察した結果、初期のwet酸化では20%まで直線則で酸化が進行した。初期酸化後、dryとwet酸化共に拡散律則で酸化は進み、wet酸化ではdry酸化の1.5〜11倍速く進行した。Z値が増加すると活性化エネルギーの値は小さくなる傾向が見ら、dryとwet酸化における速度定数と活性化エネルギーの差はz値が増加するにつれ大きくなった。一方、Y-α-サイアロンの酸化は、初期(α<15〜20%)では直線則に従い、α>20〜30%では拡散が律速となり進行した。Wet酸化でムライト、SiO_2,y-Y_2Si_2O_7の結晶化が促進されることが分かった。
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