研究課題/領域番号 |
09355030
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮本 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50093076)
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研究分担者 |
川崎 雅司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (90211862)
吉本 護 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (20174998)
鯉沼 秀臣 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70011187)
高見 誠一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40311550)
久保 百司 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90241538)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 次世代エレクトロニクス材料 / 酸化物人工超格子 / 原子レベル設計 / 量子ドット / α-Al_2O_3 / MgO / 結晶成長シミュレーション / MOMODY |
研究概要 |
酸化物は高温超伝導や巨大磁気抵抗などの発見に見られるように、半導体にはない様々な物性を発現し、次世代のエレクトロニクス材料として大きな期待が集まっている。これらの酸化物結晶の機能発現には、その構造制御が重要な鍵となる。特に超機能性を有する酸化物人工超格子を創製するには、厳密かつ正確な理論に基づく原子レベルでの構造設計が必須である。このような観点から本研究では、酸化物人工超格子の物性予測のみならず、酸化物人工超格子の機能発現に係わる2次元エピタキシャル成長機構を理論化学的に解明し、いかに原子レベルで平坦かつ均一なヘテロ接合を構築できるか、どのような積層パターンが安定なヘテロ接合となりうるか、理想的な界面構造を実現する最適なバッファー層は何かを明らかにすることを試みた。具体的には酸化物人工超格子の合成過程をシミュレーションするとこが可能な新しい分子動力学計算プログラムMOMODYを開発し、酸化物人工超格子の成長メカニズム、界面構造、格子ミスマッチの緩和、界面反応、表面欠陥などの解明や、最適なバッファー層の選択、最適合成条件の探索を通して、酸化物人工超格子の原子レベル設計を行った。その結果、YBCOなどの超伝導酸化物に対して格子マッチングの良好な基板を作成する手段として、TiO_2層を最表面とするSrTiO_3(001)基板上にSrO層を1層積んだ後に、BaO層を積む方法が適切であること、MgOの面方位による安定性の違いを利用してサファイア上に量子ドットの作製が可能であることなど多くの重要な知見を得ることに成功した。また、粗視化分子動力学法、高速化量子分子動力学法の開発も行い、より巨大な系や複雑に電子状態の変化を含む系への適用も可能となった。このように新規計算化学的手法を開発し、酸化物の結晶成長過程に適用することで、酸化物人工超格子の原子レベル設計と開発に繋がる実のりある成果をあげることができた。
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