研究概要 |
横行式翼列推進器とは、4本の楕円形の翼(ブレード)を鉛直に縦列上に並べて、一斉に左行・右行と交互に横行させて推進力を得る新型の船舶推進装置である。横行時にブレードに角度を持たせておくと前進方向に推力(揚力の前進方向成分)を発生して前進する仕組であるが,左行と右行で角度を反転させる機構を持たせて、推進力を常時発生するように設計されている。この横行式翼列推進器の原理は、和船の櫓の原理から着想したもので,此迄の研究により上手に漕ぐと70%を越える高い効率を達成できることが実験的に証明されている。平成8年度に予備研究を行って問題点の洗い出しができ,平成9年度から本科学研究費の補助をうけて問題点の改良に取りかかった。最大の問題点であった角度の切り返し(反転)の際に発生する振動と衝撃力を軽減して安定した動作が確保できるようになって,実験がやっと軌道に乗った。平成10年度にエアロフォイル型翼断面ブレードを製作して実験したところ,最高で80%に達する効率が実現できることが分った。そこで、平成11年度(本年度)は、4m模型船にこの推進器を取り付けて自航試験を行ったところ、推進効率はやっと40〜50%にすることができたが、不本意な結果になってしまった。問題点は、ありあわせの模型船を用いたので抵抗が大きくて推進器にとって負荷が重過ぎたことが第一であり、第二は横傾斜を押えるためのアウトリガーによる伴流増加である。今後の改善がまたれるところである。
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