研究概要 |
1.ダイズ品種「農林2号」の完全展開葉からcDNAライブラリーを作製し、無作為に選んだ約500のcDNAクローンを用いてRFLPマーカーを開発した。8種の6塩基認識酵素を用いて、6つの品種・ツルマメ系統の組み合わせでRFLPを解析した結果、多型頻度は34.4〜69.0%であり、多型性は従来報告されている結果よりもはるかに高かった。 2.ダイズ品種「農林2号」のゲノムDNAを用いて、ピペットによる物理的切断とDNaseI処理の後、電気泳動により300〜600bpの断片を回収して、T4DNA polymerase,T4polynucleotide kinaseを用いて、断片の平滑化、修復を行い、EcoRIアダプターを結合してLambda ZAPIIに導入してゲノムライブラリーを作製した。このライブラリーから(CT)10、(GAA)6,(GTG)6をプローブにして陽性クローンを単離した。CTとGAAについての陽性クローンを中心に塩基配列を決定、プライマーの設計を行い、約70のSSRマーカーを作出した。 3.「ミスズダイズ」と「秣食豆公503」を両親としたF2集団190個体を用いて、既知のマーカーと開発したcDNAクローンに基づくRFLPマーカー、SSRマーカーから成る連鎖地図を作製した。その結果503マーカー、21連鎖群、全長2,908.7cMの地図が得られ、主要連鎖群は染色体数20に一致した。 4.上記のF2集団を用いて開花期のQTL解析を行ったところ、4つの遺伝子座FT1、FT2、FT3、FT4が同定され、これらの遺伝子座により、開花期のほとんどの分散が説明できた。従って、ここで得られた連鎖地図はダイズゲノムの大部分を網羅していると推定された。 5.上記の集団の後代F8で156系統の組換え型近交系(recombinant inbred lines)を作製した。現在までにマーカー数232、連鎖群31の連鎖地図が得られ、F2で作製された地図と矛盾することはなかった。
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