研究課題
基盤研究(A)
ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン(eCG)は、実験動物から大型動物家畜に至るまで、強力な卵胞刺激ホルモン(FSH)様の活性、すなわち卵胞発育促進活性を示すことが知られており、妊娠馬の血液由来の抽出製剤が家畜の卵胞発育促進剤として広く用いられてきた。ところが、抽出eCG製剤は、原料ロットにより、抽出製剤の活性比率や排卵誘起活性が異なることが知られていた。さらに、不特定多数の妊娠馬の血液を利用するために、様々な感染症の伝搬媒体となる可能性も懸念されるなど、様々な問題が提起されていた。そのため、遺伝子組み換えによる生産による、品質の安定した安全な製剤の開発が望まれてきた。ところが、eCGはαサブユニットとβサブユニットが非共有結合により構成されるヘテロダイマーであること、さらに、両サブユニットに糖鎖が付加さりており、しかも生理活性が糖鎖に大きく依存しているなど、理論的・技術的に克服しなければならない問題が多く存在している。eCGのαサブユニットには2カ所(56および82番目)、βサブユニットには13番目にN-型糖鎖の結合部位が存在する。また、βサブユニットのカルボキシ末端には6〜8ケ所のO-型糖鎖結合部位が存在する。本年度は糖タンパク質N-型複合型糖鎖の基本骨格について効率的な合成法を開発した。また、変異体(α56CG)を中心に各サブユニットのアスパラギンをグルタミンに置換した変異遺伝体とβサブユニットのO-型糖鎖付加部位を除いた変異遺伝体をCHO細胞を用いて作製し、in vitro実験系によるFSH様作用とLH様作用の評価を中心に行った。
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