研究課題/領域番号 |
09357010
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
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研究分担者 |
小川 誠司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
佐々木 光 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60282638)
本田 浩章 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40245064)
千葉 滋 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60212049)
三谷 絹子 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50251244)
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キーワード | 造血幹細胞 / 遺伝子治療 / CD34 / アデノウイルス / EGF受容体 / LTC-IC |
研究概要 |
造血幹細胞の試験管内増幅は、現行の造血幹細胞移植療法を補完する上でも、将来の遺伝子治療や人工血液の開発の上でも基盤となる応用性の高い技術であるが、いまのところ自己複製能を持った造血幹細胞を、その多能性を保ったまま効率よく増幅することには成功していない。我々は遺伝子治療の技術を用いて、造血幹細胞に増殖促進機能を示すシグナル伝達物質の遺伝子を外来性に導入し、それにより分化を伴わない試験管内増幅を図る方法論の確立に成功した。純化したCD34陽性細胞上にはアデノウイルス・レセプターの発現は僅かで、そのままではアデノウイルスによる遺伝子導入は困難であった。しかしサイトカイン処理によりその発現の誘導が確認され、未熟なCD34陽性細胞に対してアデノウイルスによる遺伝子導入が可能であることが示唆された。EGF受容体(EGFR)を発現するアデノウイルスベクターを作製し、ヒトCD34陽性細胞に組み換えアデノウイルスを感染させた。フローサイトメーターでEGFRの発現を確認したところ、60.3±22.4%の細胞に外来性EGFRの発現を観察した。逆に外来性EGFRを指標に遺伝子導入された細胞を純化し、それらに未熟な混合コロニーやLTC-ICが同等に含まれていることを確認した。最終目的である試験管内増幅の可能性を検討した。ヒトCD34陽性細胞に組み替えアデノウイルスを感染させEGF存在下に5日間液体培養後、コロニーアッセイ法によりコロニー形成細胞の増幅を評価した。コントロールに比し、5.0±2.4倍の増幅が得られ、細胞毒性も認められなかった。また同様にLTC-ICの増減を検討したところ、通常、無血清液体培養下で減少するLTC-ICを維持することに成功した。以上の研究から、遺伝子治療の技術を応用した、新しい造血幹細胞体外増幅法の可能性が示された。
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