研究概要 |
腸管および肝におけるSCの遺伝子発現をRT-PCR法およびNorthern blotting法で認めないマウスのconventioalな環境下で飼育した場合の各臓器における組織学的所見は以下のごとくであった。 腸管の平滑筋は保たれているが,管腔側に真菌や原虫が集塊をなして存在し,一部の上皮細胞は絨毛の先端部が変性を起こし,また所により上皮細胞の欠損が認められる。上皮細胞の欠損した部からは原虫や真菌などが組織内に侵入する像を認める。粘膜固有層は浮腫状であり,リンパ球の数に比較して形質細胞数の増加する傾向を認めた。また,上皮間リンパ球は減少し,正常のものとに比較して少ない。胃では後胃に原虫が存在し,腺窩が長く,先端部は変性を見る。肺ではBALTに形質細胞の高度な浸潤や,血管周囲にリンパ球の浸潤を見る。肝では肝細胞の分裂像,2核の肝細胞を認め,肝細胞の増殖が示唆された。唾液腺では導管上皮細胞の変性や腫大が認められる他,周囲のリンパ節では形質細胞の集族を認めた。 皮膚では表皮が薄く,血管の拡張,皮下組織の浮腫を認め,得られたマウスの外観と良く一致しているものと考えられた。 免疫組織学的検索として,腸管で見られる形質細胞について,それらが産生する免疫グロブリンのアイソタイプについて検索を行った。その結果,得られた結果は正常の腸管における検索結果と大差なく,粘膜下の形質細胞が産生する免疫グロブリンの主体はIgAであり,IgM産生細胞ははわずかにパイエル氏板に陽性細胞を認めるのみで,IgG陽性細胞はほとんど認めなかった。また,SCの局在はコントロ-ルの腸上皮細胞や胆管で陽性反応を見るのに対して,得られたマウスではSCの局在はいずれの部位にも認められなかった。
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