研究分担者 |
服部 征雄 富山医科歯科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40126545)
上原 孝 北海道大学, 薬学部, 助手 (00261321)
村山 俊彦 北海道大学, 薬学部, 助手 (90174317)
大熊 康修 北海道大学, 薬学部, 助教授 (20127939)
周東 智 北海道大学, 薬学部, 助教授 (70241346)
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研究概要 |
1)老化促進モデルマウス(SAM)のP8系(老化促進系で記憶障害を自然発症する系)とR1系(正常の系)を使用し,脳で発現量に差の認められる遺伝子をdifrerential display法でスクリーニングした。得られた幾つかのクローンは新規であり,一つはグルタミン合成酵素と90%近いホモロジーを示した。グルタミンは神経伝達物質であるグルタミン酸の代謝中間体であり,私達はこれまでにP8系では老化に伴い脳のグルタミンやグルタミン酸の含量が増加していることを見いだしている。従ってグルタミン合成酵素の変動が定量的老化マーカーとして利用できる可能性が考えられ,現在さらに加齢に伴う変動を検討中である。 2)強制水泳実験からSAMP10系が情動障害モデルとして有用であることを確立した。P10系の海馬では,α_1,α_2アドレナリン,セロトニン,ベンゾジアゼビン受容体に変化は見られなかったが,ムスカリン性アセチルコリン受容体の親和性低下,プロテインキナーゼC蛋白質量の減少が見られた。大脳皮質では変化が見られなかった。これらの結果は海馬が学習記憶のみならず情動にも関与していることを示唆している。 3)ドパミン神経毒であるMPP′やストレス刺激(H_2O_2)が脳下垂体由来のGH3細胞のアポトーシスを引き起こすこと,神経栄養因子であるEGFがこれに対し防御作用を示すことを見いだした。ニューロプラストーマでは一酸化窒素(NO)が,カスパーゼの活性化を介してアポトーシスを引き起こしていた。これらの分子メカニズム,機能蛋白質を現在解析中である。 4)4脳血管結さつ並びに中大脳動脈結さつの一過性脳虚血モデルラットにおいて,Ca/カルモジュリンに対する薬物やグリア細胞由来の神経栄養因子であるGDNFが,遅発性神経細胞死に対して保護作用を有することを見いだした。
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