研究分担者 |
服部 征雄 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40126545)
松田 彰 北海道大学, 大学院薬学研究科, 教授 (90157313)
上原 孝 北海道大学, 大学院薬学研究科, 助手 (00261321)
村山 俊彦 北海道大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (90174317)
大熊 康修 北海道大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (20127939)
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研究概要 |
老化促進モデルマウス(SAM:senescence accelerated mouse)のP系は促進老化を示し,活動性の低下,脱毛,寿命短縮などの共通の老化所見を示す.SAMP8およびP10は学習記憶障害を示し,痴呆を主とする神経変性疾患の病態モデルとして,また脳の老化機構解析のモデルとして有用である.私たちはこれまでにSAMP8の脳の神経化学的異常を報告してきた.今回,1)SAMP10脳でのセロトニン(5HT)やドパミン(D)受容体の変化,2)SAMP8とRl間における発現量の異なる遺伝子の単離に関する検討を行い以下の知見を得た. 1) 強制水泳実験による行動学的解析からP10が情動障害(鬱症状)を有すると考えられた.P10脳の中脳領域(視床下部も含む)や大脳皮質では,D2/D3受容体結合量が有意に増加していた.この増加は最大結合量の増加によるものと考えられ,また線条体,海馬,小脳ではP10とR1との間で変化が認められなかった.これに対してD1受容体結合量は,測定した中脳領域,大脳皮質,海馬でP10とR1との間に変化はなかった.5HT1A受容体結合は,P10海馬においてR1に比較し有意に増加していた.強制水泳実験において,アポモルヒネを1回投与したあるいはイミプラミンを3日間投与したddYマウスでは浮遊時間の有意な短縮が観察された.これらの結果はSAMP10におけるドパミン受容体やセロトニン受容体の変化が情動障害に関与していることを示している.また情動障害モデル動物としてSAMP10が有用であることが示された. 2) ディファレンシャル・ディスプレイ法によって数種の差のある遺伝子を単離することに成功した.SAMP8で有意に発現の上昇が認められる遺伝子を解析したところ,グルタミンシンテターゼであった.他のクローンは未知遺伝子であった.現在,その詳細な解析を進めているところである.
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