研究分担者 |
周東 智 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (70241346)
村山 俊彦 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90174317)
大熊 康修 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20127939)
服部 征雄 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40126545)
上原 孝 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00261321)
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研究概要 |
老化促進モデルマウス(SAM:senescence accelerated mouse)のSAMP8およびSAMP10は学習記憶障害を示し,痴呆を主とする神経変性疾患の病態モデルとして,また脳の老化機構解析のモデルとして有用である.本年度は,1)SAMP10におけるうつ的情動障害におよぼす抗うつ薬の影響,2)SAMP8系へのタマネギの水抽出物の経口投与の記憶障害への効果,3)脳虚血に伴う脳細胞障害の予防・治療薬探索の組織化学的・薬理学的検討を行い以下の知見を得た. 1)強制水泳実験による行動学的解析からSAMP10が情動障害(うつ症状)を有すると考えられた.三環性抗うつ薬であるデシプラミンの連続投与はSAMP10の強制水泳実験における浮遊時間延長を改善したことから,SAMP10におけるうつ的情動障害は三環性抗うつ薬に反応するタイプであり,情動障害モデル動物としてSAMP10が有用であることが示された. 2)記憶障害を発症するSAMP8(3〜6カ月齢)マウスにタマネギ水抽出物を2ヶ月間経口投与し(5ml/kg),Morris's water maze法で記憶能への影響を検討したところ,学習記憶障害が改善された. 3)4血管閉塞(4VO)ラットの海馬CA1領域のニューロン死および中大脳動脈結紮による永久脳虚血(MCAO)ラットの脳梗塞巣のサイズは,dihydropyridine誘導体でありL型Caチャネル遮断作用およびカルモジュリン拮抗作用を有する1,4-dihydro-2,6-dimethyl-4-(3-nitrophenyl)-3,5-pryridine-dicarboxylic acid methyl 6-(5-phenyl-3-pyrazolyloxyl ester (CV-159)の経口投与(5-10 mg/kg)により抑制された.さらに4VOラットにおいてGDNF(グリア細胞由来栄養因子)の海馬実質内への微量注入(0.3-1μg)は海馬CA1領域のニューロン死を有意に抑制することを見出した.
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