研究概要 |
モルヒネ慢性脳において、一本鎖CRE(cAMP response element)結合蛋白質(ssCRE-BP)のDNA結合活性が減少していることを報告している。このssCRE-BPは、cDNAクローニングの結果、Purαと同じものであること、また、ssCRE-BPのDNA結合には、内因性活性化因子が必要なことも報告した。今回は、この内因性活性化因子の精製を試みた。マウス全脳から調製した可溶性画分を熱処理し、HiTrap Q、Mono Qイオンカラムクロマトグラフィーを行い、ゲルシフトアッセイ法で活性化因子の精製を試みた。GST-PurαとラベルしたssCREとの結合を増強する因子は、20mM Tris-HCl (pH7.5),0.1mM EDTA,0.1mM EGTA,0.1mM DTT存在下、390mM NaClで溶出される酸性可溶性因子であることが明らかとなった。ついでSuperoseによるゲルろ過から本因子は、38kDaにピークを示す分画に溶出されることがわかった。本分画を用いた実験から、1)14% SDS-PAGE,銀染色から21KDaと18KDaの二つの蛋白が主成分として存在していること、2)100KDaカットの限外ロ過膜では活性がろ液に、30KDaでは濃縮されること、3)30ngGST-PurαとssCREとの結合を約10倍増強すること、4)熱安定性を示すこと、5)本分画は、単独ではssCREと結合しないこと、などが明らかとなった。
|