研究課題/領域番号 |
09357021
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三木 直正 大阪大学, 医学部, 教授 (40094445)
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研究分担者 |
大杉 武 日本ベーリンガーインゲルハイム社, 研究所, 主任研究員 (50176880)
山形 要人 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
入江 康至 大阪大学, 医学部, 助手 (70303948)
平 英一 大阪大学, 医学部, 助教授 (60263240)
郭 哲輝 大阪大学, 医学部, 助教授 (50126570)
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キーワード | モルヒネ / メタンフェタミン / Purα / カルモジュリン / Amida / Arc / 遺伝子発現 / 細胞死 |
研究概要 |
すでにモルヒネを長期投与した時に、脳内の一本鎖cAMP Response Element結合蛋白質(一本鎖CRE-BP)のDNA結合活性が減少することを見出し、これをクロー二ングしたところPurαと同じものであることが分かった。しかし、モルヒネ長期投与ではpurα量の変化は認められなかった。次に、PurαのDNA結合には、活性化因子が必要であることを見出し、これを精製したところ、Calmodulin(CaM)であることが分かった。カルシウムによる遺伝子応答系としては、すでにCa-CaM/CaM kinase-CREBが知られているが、我々が見出したCa-CaM-Purαの経路は新しいカルシウム-・遺伝子応答系であり、薬物依存などの現象に深く関係していること推察される。Purαが結合するコンセンサス配列は、プリンに富む塩基配列で、多くの遺伝子の上流に存在することが知られており、CREBよりも広い範囲の遺伝子発現に関係していると考えられる。さらに、大麻の活性物質であるカンナビノイドの受容体を介する細胞内伝達系は、モルヒネのそれと類似しているので、モルヒネと同様なデータを得ている。 ー方、覚醒剤やコカインの慢性投与により、妄想や幻覚などの精神分裂病に類似した症状が出ることから、精神分裂病のモデルとして用いられている。我々は、電気ショック痙彎時に海馬で誘発される最初期遺伝子のArcを取り上げ、Arcと結合する新しい蛋白質を単離し、これをAmidaと名付けた。Amidaは、核移行シグナルを持ち、核に移行して神経細胞死を引き起こした。また、Amidaは、Arcと複合体を形成し、Arcを核内に移行させる。ArcはAmidaの細胞死活性を抑制する作用を持つことが分かった。 覚醒剤やコカインによる興奮性精神病の発現にArc-Amidaが関係している可能性がある。
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