研究課題/領域番号 |
09357022
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
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研究分担者 |
廣田 喜一 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283606)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
和田 洋己 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (90167205)
松森 昭 京都大学, 医学研究科, 講師 (70135573)
熊谷 俊一 神戸大学, 医学部, 教授 (00153346)
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キーワード | ADF / チオレドキシン / レドックス / 酸化ストレス / ELISA |
研究概要 |
我々はこれまで、ATL由来因子(ADF)/チオレドキン(TRX)がストレス誘導性の蛋白であり、細胞内外で活性酸素消去作用、細胞増殖促進作用、転写因子の転写活性調節作用を持つことを報告してきた。種々の疾患モデルにおいて、TRXによるレドックス制御の関与を解析し、また種々のストレスに曝された病態、疾患におけるTRX値を測定し、以下の知見を得た。 1)ラット心筋梗塞モデルにおいて、TRX投与群で梗塞巣が抑制された。 2)ラット脳梗塞モデルにおいて、TRXは脳虚血中心部で減少し、辺縁部に高発現した。また、TRXトランスジェニックマウスで脳虚血巣が有意に減少し、レドックシステムの維持が神経細胞の生存に重要であることが示唆された。 3)TRXは低酸素再酸素化による血管内皮細胞障害を有意に抑制し、Nアセチルシステインと相乗的な保護作用を示した(臓器移植モデル)。 4)ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)により血清中TRXを測定すると、健常人では加齢とともに低下し、男性が女性より有意に高かった。震災による挫滅症候群患者の半数でTRXは高く、TRX高値群は予後不良であった。膠原病患者血清TRXも高値例が多かったが、慢性関節リウマチは活動性と逆比例した。SLE患者ではGSTT1/GSTM1欠損者の頻度が有意に高く、血清TRX値が有意に高かった。炎症や免疫異常において血清中TRXは異常値を示した。 5)遺伝子工学の手法を用いチオレドキシンの酸化・還元状態により細胞内局在は決定されないこと、またカルボキシル端の欠失した短鎖型チオレドキシンは細胞外に分泌されることが強く示唆された。 酸化ストレスにより還元型TRXが酸化され、短鎖型に変換される知見があるため、TRXの酸化型、還元型、短鎖型を認識する抗体を作製し、その測定法を確立する準備をしている。
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