研究概要 |
遺伝的に多様な大腸菌O157を用いて、野菜、肉類、牛乳、調味料、香辛料中での増殖特性を検討した。大腸菌O157の牛肉中での増殖は、10℃以上の温度では1日で約10倍以上、3日間で1000倍以上、7日間で約10万倍以上に増殖した。同様に牛乳中での大腸菌O157の増殖では、初期の生育速度が牛肉中よりも遅いものの、大腸菌O157は非病原性大腸菌より増殖速度が早いことが判明した。各種野菜中での大腸菌O157の増殖では、野菜の種類によって増殖速度に違いが見られ、特にキュウリやショウガでは1日間で1,000〜10,000倍に細菌数が増加した。調味料、香辛料中では、大腸菌O157の生存率が非病原性大腸菌に比べて高く、特に14%前後の醤油中では、非病原性大腸菌の生菌数が低下するにもかかわらず、大腸菌O157は増殖することが判明した。アルコール、有機酸、食塩等の一般に微生物の増殖を抑制する物質を含む醤油中においても、大腸菌O157は高い耐性を示すことが明らかとなった。
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