水泳競技のレース分析及び指導現場へのフィードバックシステムに関わる国内外の最新の資料を収集・整理すると共に、水泳競技場における選手及び指導者へのレース分析データの即時フィードバックを試行し、その技術的・実践的有効性と問題点を検討した。 一流水泳選手が出場する全国規模の競技大会において、ハイスピードビデオカメラを用いてレース分析を行い、分析データを即時にフィードバックした。データは、スタート局面速度、ストローク局面速度、ターン局面速度並びにストローク長(m/ストローク)、ストローク頻度(ストローク数/秒)である。 50mおよび100mレースの場合は、25m毎の変化を、そして200mレースの場合は50m毎の変化を求めた。また、ターン局面においては、泳ぎからターン動作に入り、壁に足が接地するまでの局面としてのターン・イン局面と壁接地から泳ぎ出し局面までのターン・アウト局面に分けた。 また、分析においては、撮影されたビデオ映像から、通過時間を自動的にコンピューターに入力できるシステムを開発した。このシステムは簡易スリットビデオを実現したものであり、画像の横軸が時間を表すことにより、マウスでの選手の頭の画像をクリックすることで、通過時間を知ることができる。 これらのシステムは、データが個人毎に提示されること、選手のレース内容を詳細に把握できること、汎用コンピュータと普及レベルのハードディスクで対応が可能なこと、データの収集時間を短縮できること等の利点があることが確認された。
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