研究分担者 |
平田 孝道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80260420)
石黒 静児 東北大学, 核融合化学研究所, 助教授 (10193301)
飯塚 哲 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20151227)
佐藤 徳芳 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40005252)
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研究概要 |
(1) K^+-C_<60>^-プラズマを用いて形成された薄膜をレーザーイオン化飛行時間型質量分析を行った結果,基板バイアスがプラズマ空間電位より5V以上高い場合に薄膜中の金属内包フラーレンK@C_<58>,K@C_<60>の存在を示唆する明確なスペクトルが得られた.また,これらの金属内包フラーレンの空のフラーレンC_<60>に対する組成比率は高々数10%,平均的には数%に過ぎないことが明らかになった. (2) そこで,更なる内包化の促進と内包機構の解明を目的として,フラーレンプラズマのアルカリ金属種を変える実験を試みた.すなわち,カリウムのイオン直径はC_<60>ケージの平均六員環直径よりも大きいが,ナトリウムのイオン直径はそれとほぼ同程度であるのでNa^+-C_<60>^-プラズマを生成して,金属内包フラーレンNa@C_<60>を多量に含む薄膜形成を目指した. (3) 生成されたNa^+-C_<60>^-プラズマ中の正イオンと負イオンの半径方向分布をイオンセンシティブプローブで測定した.正イオンは磁場を著しく横切る拡散型の分布であり,負イオンは更に著しく拡散しプラズマエッヂ領域にピークをもつ局在型分布であることが明らかになった. (4) このプラズマ中に半径方向に細かく分割された基板を挿入し各々にバイアスを印加して成膜を行い,形成された薄膜の組成の半径方向分布をレーザーイオン化飛行時間型質量分析器により調べた.その結果,C_<60>^-イオンが局在する半径方向位置での薄膜中には,正バイアスの場合にNa@C_<60>が極めて高い含有率で存在することが示唆された. (5) また同時に,この薄膜を冷陰極電界放射形走査電子顕微鏡により表面観察し膜質及び膜構造を調べ,超高真空装置で作製されたC_<60>のみの蒸着膜の膜質・膜構造と比較検討する実験も開始した.
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