研究課題/領域番号 |
09358008
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
畠山 力三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00108474)
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研究分担者 |
平田 孝道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80260420)
飯塚 哲 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20151227)
佐藤 徳芳 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40005252)
大原 渡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80312601)
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キーワード | フラーレンプラズマ / 新機能性薄膜 / 超分子構造 / 金属内包フラーレン |
研究概要 |
フラーレンプラズマによる薄膜形成実験とその評価・分析を行った結果、以下のような結果が得られた。 (1)フラーレンC_<60>への原子内包の高効率化とその機構解明を目的としたNa-C_<60>プラズマによる成膜実験と組成分析の結果、Na内包フラーレン(Na@C_<60>)を含むNa-C_<60>複合物質が検出された。C_<60>に対する平均生成率は30〜50%に達し、更に成膜基板のある領域における生成率は、最大200%以上に達する結果が得られた。 (2)成膜基板に印加するバイアス電圧を変化させた場合のC_<60>に対するNa@C_<60>の平均生成率に関しては、C_<60>は正バイアス電圧の上昇に伴って増加するのに対してNa@C_<60>は、正バイアスのある値で最大値を示し、それ以上の値では減少する傾向がみられた。 (3)薄膜の組成・構造に対するプラズマ効果を明確にする手段として、冷陰極電界放射形走査電子顕微鏡及び高分解能電子顕微鏡による直接観察を行った。薄膜表面はバイアス電圧の変化に伴い、大きく変化するのが観察された。更に、ナノスケールでの詳細な観察を行った結果、中心に黒点を持つC_<60>分子が数多く観察されており、黒点直径がNa^+イオン直径にほぼ一致することから、NaがC_<60>に包したものであることを直接的に検証することができた。 以上の結果から、Na@C_<60>を含むNa-C_<60>複合物質の大量生成は、生成物質の組成・構造分析を可能にしたのみならず、フラーレンベース新機能性薄膜の形成に大きく寄与できるものと考えうれる。
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