研究課題/領域番号 |
09358015
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
関口 睦夫 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00037342)
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研究分担者 |
続 輝久 九州大学, 医学部, 教授 (40155429)
下川 英俊 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50122792)
伊東 理世子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (10140865)
真田 正幸 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40084264)
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キーワード | 発がん / アルキル化剤 / DNA修復 / 修復欠損 / 遺伝子欠損マウス / 遺伝子ターゲティング / 致死効果 |
研究概要 |
化学物質が生体に作用して癌をひき起こす場合、先ずその物質がDNAに結合してその塩基を修飾しその結果塩基対合に異常をきたすことが必要と考えられる。生体にはこれを防ぐために、修飾をうけた塩基を認識し、それを排除してもとの状態に修復する機構が存在する。この修飾機構は動物の種類はもとより組織や細胞によっても異なっており、化学物質の発癌性はこの過程によって著しく左右される。化学物質の発癌性を評価するにあたってはDNA修復活性を念頭に入れることが重要であり、発癌性を敏感に検出するためには修復能を欠くモデル動物を用いた実験系を確立することが必要である。そのような見地から、我々はアルキル化剤による発癌性において主要な役割を演じると考えられるO^6-メチルグアニンを認識して修復する酵素(O^6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ)の遺伝子(MGMT)を欠くマウスを遺伝子ターゲティングの手法を用いて作出した。MGMT^<-/->マウスは正常マウスより若干小さいが正常に成長し、増殖した。このマウスにアルキル化剤(メチルニトロソウレア)を投与したところきわめて高い感受性を示し、MGMT^<+/+>のLD_<50>が240mg/kgであったのに対しMGMT^<-/->マウスのLD_<50>はその1/10以下の19.5mg/kgであった。致死量以下のメチルニトロソウレア(2.5mg/kg)の投与によってMGMT^<-/->マウスは正常マウスに比べ、より高い率で胸腺や肺に腫瘍が発生した。同様な傾向は環境発癌物質の一つの考えられるジメチルニトロサミンの投与によっても観察された。メチルトランスフェラーゼ欠損マウスではアルキル化剤の投与によって増殖の盛んな細胞が障害を受け、その結果血球系・免疫系の細胞を供給する骨髄の幹細胞や腸官上皮の細胞が著しく減少する。致死効果が高いと発癌性を検討することがむつかしくなるので両者を分離する実験系についても検討を行っている。
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