研究課題/領域番号 |
09358018
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
米川 博通 (財)東京都臨床医学総合研究所, 実験動物研究部門, 研究員 (30142110)
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研究分担者 |
土屋 政幸 中外製薬株式会社, 探索研究所, 研究員
小池 盛雄 東京都立駒込病院, 病理科, 部長
小原 道法 (財)東京都臨床医学総合研究所, 放射線医学研究部門, 研究員 (10250218)
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キーワード | C型肝炎 / 遺伝子導入動物 / マウス / ヒト疾患モデル |
研究概要 |
HCV感染症の特徴は感染者のほとんどが持続感染化することと、長い年月をかけて肝発癌に至ることである。このHCV病原性発現機構を解析するためにHCVcDNAを導入したトランスジェニックマウスの開発を行ってきた。しかしHCV遺伝子が導入されたマウスは通常生まれないか、生まれても発現が低いという問題があり、さらに生下時からタンパク発現があるため実際のHCV感染症では重要な役割を担っていると考えられる宿主の免疫反応の解析が困難となる。これらの問題点を解決するために我々はマウスの胎生期にはほとんど発現せず、任意の時期に発現が誘導できるCre/loxPシステムを利用してHCVトランスジェニックマウス(CN2マウス)の作成に成功した。 CN2マウスに、Creを発現する組換えアデノウイルス(AxCANCre)の経静脈投与によりHCV遺伝子発現を検討した。AxCANCre投与後3日目の検討では、マウスの肝臓でCreによる遺伝子組換えとHCV遺伝子発現がウイルス投与量依存的に起こることがあきらかになった。AxCANCreを充分量投与することによりマウスの肝臓でCreによる遺伝子組換えがほぼ完全におこり、組織染色によりほとんど全ての肝細胞でHCV蛋白質発現が確認された。また、CN2マウスの各系統間で肝臓におけるHCV蛋白質発現量の差があることがわかった。 組織学的には、AxCANCre投与後7日目にはCN2マウス肝臓で、単核球浸潤、クッパー細胞の活性化およびアポトーシス細胞と考えられる好酸体が小葉内に観察できた。この所見はマウスに抗CD4、CD8抗体を投与することにより著明に改善し、HCV蛋白質発現による肝障害は、宿主の免疫反応が重要であることが示された。またこの肝障害が、HCV蛋白質に対する特異的免疫反応により誘導されていることが、AxCANCre投与後14日目にマウス血清中に抗HCV抗体が出現することからも推測できるが、現在さらにHCV蛋白質に対するCTL活性等を検討している。
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