研究課題/領域番号 |
09359001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 国立がんセンター (1998-1999) 北海道大学 (1997) |
研究代表者 |
齋籐 政樹 国立がんセンター, ウイルス部, 部長 (60012762)
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研究分担者 |
松田 和洋 国立がんセンター, ウイルス部, 主任研究官 (80251502)
石井 睦 国立がんセンター, ウイルス部, 室長 (20232225)
濱中 裕一郎 国立がんセンター, ウイルス部, 主任研究官 (40189618)
堺 隆一 国立がんセンター, ウイルス部, 室長 (40215603)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | ガングリオシド / 脂質性シアロ糖化合物 / ガングリオシドGM3合成酵素 / cDNAクローニング / ゲノム構造解析 / シアロコレステロール / テネイシン / 細胞外マトリックス糖蛋白 |
研究概要 |
本研究課題において、以下の研究項目を推進した:(1)ガングリオシドGM3(シアル酸転移酵素-1:STGalV)合成酵素の遺伝子クローニング、ゲノム構造解析及びその発現酵素蛋白の解析:ヒト神経芽腫や骨髄性白血病細胞に対する分化誘導能や増殖抑制能等の生物活性を持つ酸性糖脂質ガングリオシドの合成系キーエンザイムであるGM3合成シアル酸転移酵素の遺伝子のcDNAクローニングに世界で初めて成功し、この遺伝子がコードする糖転移酵素の分子構造、生物活性を解析し、今までにクローニングされているシアル酸転移酵素比べ興味ある様々な特徴を見いだした。シアリルモティーフLとSを持ち、II型膜酵素蛋白で、ペプチド部が41.2-41.7kDaの糖蛋白質である。ヒトST3GalV遺伝子のゲノム構造(7つのエクソンからなり、転写発現第2エクソンから始まる)を決定した。(2)ガングリオシドGM3合成酵素遺伝子の発現制御とその応用、並びに関連糖転移酵素の遺伝子クローニングと糖鎖改変によるがん細胞機能の修飾:糖鎖を酵素的に自動合成するため、またGM3合成酵素蛋白の立体構造解明のため、発現ベクターpMAL-p2を利用して可溶型酵素蛋白の産出を試み、マルトース結合蛋白との融合蛋白として部分成功した。;(3)天然型ガングリオシドGM3及び化学合成N-アセチル型GM3の生物活性の比較検討並びに化学合成ガングリオシド合成類縁体(脂質性シアロ糖化合物:ネオグリコピド)の生物活性とその応用開発:ガングリオシドGM3及び脂質性シアロ糖化合物の増殖抑制・分化誘導河清の分子機構を脂質性疎水部分の必須性を検討したところ、合成N-アセチル型GM3には天然GM3に匹敵する活性が認められ、分化誘導活性にはガングリオシド糖鎖構造の特異性ばかりでなく、脂質部分の物性('柔らかさ'等)が生物活性発現に重要であることが示唆された。なお、脂質性シアロ糖化合物のα-シアロコレステロール、α-シアロジグリセリド両者にはアポトーシス誘導機能が明確に証明された。また全ての化合物について、光学異性体β-アノマーの活性は極めて弱いことが判明し、シアル酸結合様式は天然型αグリコシド結合が要求されることが示唆された。さらに、ネオラクト系ガングリオシド合成が顆粒球系分化に基本的に重要であると同時に薬剤耐性白血病をガングリオシドで治療し得る可能性が示唆された。(4)細胞外マトリックス糖蛋白テネイシンの造血系における生物機能:悪性転換の初期段階に、細胞外マトリックス糖蛋白分子、テネイシンの高い発現活性を見いだし、造血微小環境を構成するストローマ際と造血細胞との直接的接触に介在し、造血能を制御していることをテネイシンCノックアウトマウスの長期骨髄培養系で発見した。
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