研究分担者 |
浅井 真人 古河電気工業(株), 横浜研究所, 主任研究員
鈴木 雄一 古河電気工業(株), 横浜研究所, 所長(研究職)
小林 郁夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (40242268)
土居 寿 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (30251549)
米山 隆之 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (00220773)
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研究概要 |
超弾性チタンニッケル合金は、大きな変形を与えても元の形状に復帰することから、歯科治療にはさまざまな応用が考えられる。しかし、この合金はニッケルを多く含むことから、ニッケルイオンの溶出が懸念される。そこで、チタンニッケル合金に第3元素を添加することにより、ニッケルイオンの溶出を抑えた安全性の高い超弾性合金を開発することを目的としている。 平成9年度はチタンニッケル合金に添加する第3元素として、パラジウムについて検討した。その結果、ニッケルをパラジウムで15%置換した合金、すなわちTi-42.5Ni-7.5Pd(mol%)合金が、低い耐力で超弾性すなわち、従来の合金では得られないしなやかさを示すことが判った.そこで平成10年度ではこの合金の長期間浸漬試験を試みた.ニッケルをパラジウムで置換することにより、ニッケルの含有量を少なくすることが出来るため、ニッケルの溶出量が少なくなることができたが,チタンの溶出量は2元系の場合とあまり変わらないことが判った。 そこで次の添加元素として,銅について検討した.銅の場合,20mol%までニッケルと置換が可能であったが,変態点が高くなり体温で超弾性を利用するためには,10mol%すなわち49.2Ti-40.8Ni-10Cuあたりがもっとも適していることが判った.この合金はパラジウムを添加した合金よりも,さらにしなやかなであり,歯科臨床の新しいデバイスとしての応用が期待される.溶出試験の結果,イオンの溶出を減少させることができたが,鋳造のままでは,イオンの溶出の多いものも出現することが判った.そこで773K,3.6ks熱処理すると,力学的性質はほとんど変化せず,イオンの溶出のばらつきが少なく浸ることが判った. さらに,金を添加元素とした場合について検討している.金添加の場合,5mol%あたりまで変態点はほとんど変化しないが,それ以上になると金の量が増えるにつれて変愼点が低下し,8mol%あたりまで添加しても変態可能である.そのため体温付近で超弾性を発現させるにはチタンの多くすることができる.この合金の長期化間浸漬試験を継続中である.
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