研究概要 |
蛋白質の光波トラップを実現するために、通常の全反射場より強力な電場が得られる表面プラズモン共鳴法を開発してきた。本年度は、表面プラズモン法の詳細な評価を行い、蛋白質をトラップするための条件を検討した。 ガラス基盤上にAu,AgまたはAlをコートし、裏面からレーザー光を照射して、金属薄膜と溶液の境界の表面に表面プラズモン共鳴により、エバネセント場を発生させた。表面プラズモンによる電磁場は、伝搬長が全反射によるエバネセント場よりも長いことから、より強い電場強度が得られると期待できる。 入射光の反射率の入射角依存性を測定し、臨界角以上での反射率の減少から、表面プラズモンの発生が確かめられた。各金属薄膜上で蛍光1分子の蛍光強度を測定し、全反射に較べて、Auで1.6,Agで12.6,Alで2.3倍の蛍光強度の増大が観察された。蛍光強度の入射光の偏光に対する依存性からも、蛍光分子が表面プラズモンで励起されていることが証明された。表面プラズモンによる電場の増強の値は、Au,Agでは理論で予想される値に近かったが、Alでは理論値0.082よりも遥かに大きな増強が測定された。これは、薄膜とバルクでの光学定数のずれや、蛍光色素と金属の相互作用によるものと考えられる。 今後は、表面プラズモン法で蛋白質分子を捕捉・操作することを試みる。
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