研究分担者 |
リーゼンフーバー ワラウス 上智大学, 文学部, 教授 (60053633)
斉藤 寛海 信州大学, 教育学部, 教授 (00020628)
中江 彬 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (20079007)
伊藤 和行 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60273421)
根占 献一 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (50208287)
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研究概要 |
1 平成9年度〜12年度にかけて,学習院女子大学・同志社大学・京都大学を会場に,計8回の研究発表会を開催し,毎回,40〜50名の参加者を得て,ルネサンスの自然観に関して,さまざまな観点から検討を行った。また,平成10年度には,他の組織との共催で国際研究集会を開催した。 2 これらの研究発表会における,主たる論点は,(1)初期ヒューマニストたちの医学批判に見える,反スコラ的な自然観,(2)ペトラルカ以来の文学に現われる,古典的・牧歌的な自然像,(3)アヴェロエス主義的な自然についての合理主義的研究と,ガリレオを嚆矢とする数学をモデルとする自然理解,(4)ヘルメス主義者を代表とする魔術的・秘儀的な宇宙観,(5)ルネサンス美術における,遠近法と自然主義を特徴とする自然観,などである。 3 これらの論点を中心に行われた議論の内容は多岐にわたったが,結果的に明らかになった点は,(1)中世のスコラ的自然観に替わるルネサンスの新たな自然観は,自然科学上の発見によってだけではなく,自然に対する見方が,哲学・文学・芸術を含む人間の文化的活動総体の中で転換したことに起因すること,(2)この転換は,「人間における自然」(人間本性)の理解においても起こって新しい人間像の創出を促し,また人間の共同体である社会・国家の新しい体制を提示したこと,である。 4 その他,研究課題に関わる邦語ルネサンス文献目録の作成のために資料の蒐集を継続的に行ない,コンピュータへの入力作業を行なった。
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