研究課題/領域番号 |
09410008
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
有田 和夫 東洋大学, 文学部, 教授 (70011301)
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研究分担者 |
小林 二男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10107831)
佐藤 豊 愛知教育大学, 総合科学課程, 助教授 (00262931)
野間 信幸 東洋大学, 文学部, 助教授 (80246769)
山田 利明 東洋大学, 文学部, 教授 (30104897)
阿部 兼也 東洋大学, 文学部, 教授 (40005773)
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キーワード | 哲学概念 / 漢語 / 近代中国 / 西洋哲学 / 翻訳 |
研究概要 |
本年度は、昨年度の「自由」「利」「学生」等の概念形成についての検討を継続したほか、哲学面では「理性」「倫理」等の概念の形成、宗教面では「儒教」「儒家」と言うときの教と家の問題、文学面では文学理念の形成等、いずれも本研究の中心となる課題の検討を行った。さらにこれらの問題を総合的にとらえるために、中国における初期の大学教育の内容やカリキュラム・学制などについて調査検討を行った。 もともと中国思想における理と性は、それぞれに異なった概念を持って理解されてきた。それが宋学によって、性と理が一体のものとして認識されるにいたって、「性理」という術語が生れ、殆ど性と理は、この宋学の概念によって理解されてきた。また、儒家・道家という用語は、『漢書』芸文志以来、学流を示す用語として用いられてきた。ところが仏教の伝来と流布によって、道教・道家のように教と家の概念はきわめて曖昧となる。 清末・民国初期に、欧米の哲学概念が訳される際、当然ながら知識人の持つこうした哲学的・言語的理解がその訳語の選択に大きく影響した。本年度は、欧米の哲学概念の理解を中心に、それが中国語に訳される必然性、あるいはその翻訳の過程を通しての知識人の内的葛藤についても、資料を整理した。特に、相違する概念をどのように克服理解したのかの一例を、当時の日本人と中国知識人との間の書簡や筆談のメモ等によって検討した。
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