研究課題/領域番号 |
09410008
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
有田 和夫 東洋大学, 文学部, 教授 (70011301)
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研究分担者 |
阿部 兼也 東洋大学, 文学部, 教授 (40005773)
手代木 有児 福島大学, 経済学部, 助教授 (20207468)
佐藤 豊 愛知教育大学, 国際文化コース, 助教授 (00262931)
野間 信幸 東洋大学, 文学部, 助教授 (80246769)
小林 二男 東京外国語大学, 外国語学科, 教授 (10107831)
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キーワード | 近代中国思想 / 中国哲学 / 西洋思想 / 概念 / 理性 / 倫理 |
研究概要 |
近代中国における西洋思想・哲学理念の受容は、主体的摂取の試みに始まり、伝統的思想・哲学との混在と調整を経て、それらを変容せしめつつ受容してきた。この研究では、そうした変容、受容の相位を各分野にわたって分析し、西洋思想・哲学の基本的な理念や概念が、どのように理解されたかについて明かにした。その範囲は、近現代思想、文学語学、宗教・習俗を主とする分野に大別できる。近現代思想においては、特に「倫理」「理性」などの用語を中心にその概念の理解の過程を明らかにし、西洋思想や分化の理解を通しての近代的社会精神の形成される道程を論じ、文学・語学方面では、文学のあり方や文学者のもった意識構造を論じ、宗教・習俗については、欧米の訳語を通して、その語のもつ概念の比較などを論じた。これらによって得られた知見および成果は、I)思想概念の理解に関しては、多く宋学の用語を用いながら、その理解に努めたこと、II)文学者・知識人の意識の根底には、進士乃至は進士に準ずるものの立場が認められ、それが、近代的思想や文学の発展に少なからぬ影響を残したこと、III)宗教的概念については、欧米語がむしろ中国語音の音訳によった事例をあげ、逆に清朝知識人の意識が、その訳語にかなり反映されたことなどを明らかにした。 つまり、一般的には、西洋文化・思想・哲学など諸概念の受容は、その各々の分野によって微妙な相違が認められ、その相違こそが、近代の社会精神の形成に影響した。ということが出来よう。今後は、こうした言語概念の中から、哲学的思索を明らかにする方法が確立するものと考えられる。
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