研究課題/領域番号 |
09410020
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
辻 成史 金沢美術工芸大学, 美術工芸研究科, 教授 (90127259)
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研究分担者 |
上田 恒夫 金沢美術工芸大学, 美術工芸研究所, 教授 (00112491)
五十嵐 嘉晴 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (60046167)
太田 昌子 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (00285173)
佐々木 達夫 金沢大学, 文学部, 教授 (60111754)
田辺 勝美 金沢大学, 文学部, 教授 (90013755)
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キーワード | アルケオロジー / フーコー / ディスクール / 画像言語 |
研究概要 |
1) 全体としては、次の解明を行った。 表象は関連する空間と諸物に実定性という権力を付与する。表象は、表象空間を脱し溢れ出ようとし、奥所にあった実定性は、歴史として観者の側にあるnarrativeと化して意識に押し寄せる。 2) 具体的には次の分担研究において究明した。 (1) フーコーのアルケオロジーの方法で美術史の性格を比定し、19世紀以後の視点と美術史学の関連を指摘した。 (2) 考古学における物の記述における内側と外側を、コンピュータ解析によって比較し物の特定の方法を示した。 (3) 版画とカビネットとの関係を調査し、カビネットが作品の実定性を保証する権力的な立場であることを示した。 (4) テクスト間の齟齬から美術史的・考古学的記述の不確定性を示し、等閑視されてきたモチーフの再検討があらたなテクストとの関係を指示して、記述が不断に展開する事を示した。 (5) 複数の文書テクストを取り上げ、異質でありながら言語表象間の整合性が自らに希求されている現象を示した。 (6) プルーストにおけるボッティチェッリのモチーフが、作家の秘めやかな企ての流れの中で変容しながら、読者の意識の中でその実定性が蘇る様を分析した。 (7) 中世物語絵屏風のジャンル形成を取り上げ、それがその周辺に様々な言説を呼び寄せ絵画という表象を核として結晶する様相を分析した。 (8) 伝統芸術という日本近代固有のジャンルが、実は言説の問題であり、大戦中は権力構造に依存しながら、戦後は分散された不確かな構造の中に継承されたことを示した。 (9) 修辞学のターム/概念であったデコルムが、古典主義期に視覚芸術との関係を獲得し、また純粋な視覚形式を問題とした様式論において創造的契機として取り上げられる事を分析した。 以上の実績は、報告書として公刊した。
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