研究課題/領域番号 |
09410026
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南 徹弘 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (40030043)
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研究分担者 |
今川 真治 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 助手 (00211756)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (60183886)
日野林 俊彦 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (80156611)
安田 純 大阪大学, 人間科学部, 教務職員 (30324734)
小島 康生 大阪大学, 人間科学部, 助手 (40322169)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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キーワード | ニホンザル / テレメトリーシステム / アルゴスシステム / 発信器装着法の開発 / 周辺化と群れ落ち |
研究概要 |
本研究は、わが国の50年近いニホンザル研究がなお明らかにすることができていない、集団から離脱したオスザルの生活史を明らかにするための基礎的研究であった。そのための手段としてわれわれが利用したのは、人工衛星を利用したテレメトリーシステム(アルゴスシステム)であり、観察対象としたのは、現在まで40年以上の研究史を持つ、岡山県勝山町神庭の滝付近に生息するニホンザル餌付け自然集団(勝山集団)であった。 アルゴスシステムは、世界の多くの動物行動研究者によってさまざまな動物の生息圏の調査や渡りの調査に利用され、実績を上げているテレメトリーシステムであるが、ニホンザルのような森林棲の動物種では研究例がほとんどない。そのため本研究期間の多くを、同システムのニホンザルへの応用の可能性を探ることに費やした。具体的には、発信器の開発からスタートし、ニホンザルへの発信器の装着法の試行錯誤的検討を経て、システムのキャリブレーションを長期間にわたって行った。その結果、ニホンザルへの発信器の装着法が確立され、位置情報が概ね正確に得られることを確認した。 本研究の研究期間中に、勝山集団では一部の成体メスと未成体を含む分派集団に周辺部の若い成体オスが入り込み、分派活動を強めていたが、結局明確な集団の分裂を経験するには至らなかった。また、集団周辺部における周辺オスや他集団出自のオスの動向に関する補足的データは、この3〜4年間にわたってオスたちの集団からの移出入が、結果として多くは起こらなかったことを示していた。集団周辺部における若オスたちの顔ぶれに大きな変動はなく、また、数年前から集団周辺部で確認できている他集団出自と思われる成体オス数頭の顔ぶれも変わっていない。集団からのオスザルの離脱を前提とした本研究は、結果として集団を離れて他集団へ移入するオスザルの移出入過程を明らかにすることはできなかったが、アルゴスシステムの応用の可能性を十分に検討し証明したといえるであろう。
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