研究概要 |
1) ハト空間認知の行動的研究 オペラント箱の正面パネルに3つのキイをつけ、ハトに位置弁別を獲得させた後、後方パネルの3つのキイを点灯させるテスト試行を挿入したところ、ハトは自分の体を参照枠としたキイの選択、つまり正面に向かって右のキイが正しい位置なら、後方でも後方に向かって右を選択した。次にハトの体を吊るし、床面の2つのキイの位置弁別を行わせた後、モーター駆動により、ハトをキイの反対側に回転移動させるテスト試行を行った。この場合もハトは自分の体に対しての相対的な左右選択をしめした。 2) ハト連続位置弁別獲得におよぼす海馬とLPO損傷の効果 3キイからなるオペラント箱でどれか1つのキイか正位置となる弁別をつぎつぎと行わせるrepeated acquisition課題を訓練し、海馬とLPO(lobus paraolfactorium)の損傷を試みた。その結果、LPO損傷においてよりより強い障害が検出された。 3) ハトconfigurational discriminationにおよぼすかいば損傷の効果 A,Bどちらの刺激も正刺激であるが、AB同時提示は負刺激となる弁別課題は、ラットにおいては海馬損傷によって障害を受けることが知られている。ハトで同様の訓練をおこなったところ、海馬損傷は顕著な障害を生ぜしめなかった。ただし、この課題の獲得そのものに多くの訓練日数を要した。
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