鳥類大脳尾側背内側部の解剖学的研究から当該部位が哺乳類鳥類海馬に相当することが示唆され、また鳥類空間記憶容量と海馬体積の間に相関関係があることが示されている。本研究では以下の海馬損傷の実験を行った。実験1:空間自動弁別形成は海馬損傷で障害されるが、色光自動弁別形成は障害されない。また空間弁別形成後の海馬損傷は弁別維持を障害しない。実験2:Repeated acquisionの手法により空間弁別獲得に対する海馬損傷の効果を検討したところ、障害効果がみられた。また、この障害は色手がかりを付加すると消失した。実験3:DRL10秒のスケジュール統制行動にたいする海馬損傷の効果を検討したが、遅延8秒であったも障害は見られなかった。実験5:条件性空間弁別への海馬損傷効果を検討したが、障害は認められなかった。実験6:Negative patterning弁別への海馬損傷効果を検討したが、課題自体の学習が困難であり、損傷効果は検出できなかった。以上のことからハト海馬は空間弁別の獲得の特化した機能を持つと考えられる。
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