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1997 年度 実績報告書

出稼ぎ・過疎・高齢化に関する学際的地域研究-生活史法から接近する,近代化のスローモーションとしての青森県津軽地方-

研究課題

研究課題/領域番号 09410029
研究種目

基盤研究(B)

研究機関弘前大学

研究代表者

作道 信介  弘前大学, 人文学部, 助教授 (50187077)

研究分担者 今井 一郎  弘前大学, 人文学部, 助教授 (50160023)
安 祐子 (杉山 祐子)  弘前大学, 人文学部, 助教授 (30196779)
山下 祐介  弘前大学, 人文学部, 講師 (90253369)
田中 重好  弘前大学, 人文学部, 教授 (50155131)
北村 光二  弘前大学, 人文学部, 教授 (20161490)
キーワード近代化 / 出稼ぎ / 過疎 / 生活史 / スローモーション / 再怖性 / 制度
研究概要

1.出稼ぎ班:北津軽郡小泊村にて、出稼ぎ経験者23名に面接調査をおこなった。それぞれの生活史を集め、時代ごとに分析することで都市部へ押し出す push 要因、都市の吸引 pull 要因、それに対して、村人を出稼ぎ者としてひきとめる hold 要因 があきらかになりつつある。それには2つの要因があり、ひとつは、「生業に埋め込まれた出稼ぎの伝統」である。もうひとつは、「生活史に組み込まれた出稼ぎの伝統」である。個々の人々の生活史に出稼ぎに出ることが、ライフビジョンとして組み込まれているのである。
たとえば、小泊の場合、明治期以降、小泊村の人々は、北海道のニシン、下北、松前のイカと雇われ漁夫として、出稼ぎにでるのを当然のこととしていた。雇いによる収入とその時期以外における沿岸での雇われ漁業が生業の基盤となっており、その伝統は戦後、ニシン魚が衰退し八戸へ雇われるようになってからも続いていた。これらの伝統のなかで、都市部への出稼ぎは行われた。また、働けるうちはこのような「やとい」あるいは自営漁業の組み合わせですごし、老後は、小舟による「磯周り」をおこなう。事実、引退して小舟による漁業を行うものも多い。このような生業が成り立つのは、農業に比べて、資源のメインテナンスがいらない漁業の特質による。
漁民の出稼ぎには、近代化に対して、服従するのでもなく、抵抗するのでもない、「すりぬける」態度をみることができる。彼らは、近代にからみとられず、自己選択をしない「すりぬける」態度をとりつづけてきたのである。
2.過疎班:秋田市および岩手県岩泉町で、聞き取り調査を行った。秋田県は昭和40年代多くの出稼ぎ者を首都圏に送り込んだが、その後急速に過疎化が進んだ地域である。ここでは、主に行政側の過疎対策について概括的な知見を得た。また、岩泉町は、典型的な山村であり、過疎化・高齢化が進んでいる地域である。ここでも、生活史法により、生業形態の変遷をたどる試みをおこなった。また、東北各県で行われている活性化策を概観し、実地に視察することで、各地のイメージ戦略を詳しく調査した。どのような意味づけを地域に行うのか、それがどのように形成されるのか、地域の活性化の鍵を握る。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 作道信介: "津軽地方の出稼ぎのある暮らし" 平成9年度弘前大学人文学部公開講座テキスト. 15-16 (1997)

  • [文献書誌] 山下祐介: "青森県の過疎" 平成9年度弘前大学人文学部公開講座テキスト. 13-14 (1997)

  • [文献書誌] 今井一郎: "白神山地周辺地域の暮らし" 平成9年度弘前大学人文学部公開講座テキスト. 11-12 (1997)

  • [文献書誌] 田中重好: "地域分権" 平成9年度弘前大学人文学部公開講座テキスト. 8-10 (1997)

  • [文献書誌] 北村光二: "地域のコミュニケーション" 平成9年度弘前大学人文学部公開講座テキスト. 3-5 (1997)

  • [文献書誌] 岡恵介: "山村で考えた環境教育" 望星 10月号. 23-30 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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