研究概要 |
本調査研究においては、少子化や長寿化、高度情報化など、今日的な社会変動を背景に顕在化しつつある家族ライフスタイルの多様化に焦点をおき、とりわけ家族そのものが自分らしさを追求しようとしている個人が主体的に選択する対象になってきているという仮説のもとに、平成9年度から平成11年度にかけて質的(インテンシヴな面接調査による分析)ならびに量的(質問紙調査による統計的分析)の両面から確たる知見を得ることを目的に展開した。まず夫婦関係における夫婦ライフスタイル化、親子関係における親子ライフスタイル化(実際にはライフスタイル化している母親役割)、ならびに介護ライフスタイル化という3つの下位領域に分けて、各20〜30ケースの典型事例を選び、面接調査を実施した。調査の結果は、夫婦関係においても親子関係においても介護関係においても、それぞれに家族ライフスタイル化(すなわち、個人が主体的に個人的な生活選好に基づいて合意形成的に展開する家族生活のパターン)が進行していることが明らかになった。また質問紙調査では、兵庫県内の都市部の35歳から65歳までの住民を中心に2,000ケースが無作為に抽出され、郵送配票・郵送回収がなされた。有効回収率は26.7%であった。夫婦ライフスタイルという点では夫婦関係に満足している夫婦ほどライフスタイル化が進行していることや親子ライフスタイルという点では子どもの個性尊重というよりも「子どもが納得できる」という点、つまり子どもの主体性尊重に関心が払われていることや介護ライフスタイルという点では嫁と舅姑との関係におけるよりも夫婦関係における介護ライフスタイル化の方がより進行困難であるという知見を得ることが出来た。このほかにも多くの興味深い知見を得ることが出来ているが、それらについては『研究成果報告書』(冊子体)を刊行しているので、そちらに譲りたい。
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