研究課題/領域番号 |
09410063
|
研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
大嶋 恭二 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 助教授 (20185250)
|
研究分担者 |
山下 道子 財団法人青少年福祉センター研究室, 研究員
松本 伊智朗 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (20199863)
神里 博武 沖縄キリスト教短期大学, 保育科, 教授 (30233935)
遠藤 克子 東北福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10213589)
大橋 薫 聖徳大学, 人文学部, 教授 (90062067)
|
キーワード | 児童・家族の福祉的ニーズ / ニーズの早期発見・早期介入 / 公的介入システム / 親子ぐるみ・家族ぐるみでの援助 / 社会的自立 |
研究概要 |
児童・家族の福祉的ニーズの早期発見と早期介入に関する基礎的な資料をうるため、相談機関では宮城県(仙台市、塩竃市)、沖縄県における児童相談所、婦人相談所、福祉事務所(家庭児童相談室)の利用者に対して、また児童福祉施設等では北海道(富良野市)、東北(仙台市)、関東(東京都)、東海(名古屋市)、関西(京都市、大阪市)、九州(福岡県、沖縄県)の地域で乳児院、養護施設、自立援助ホーム利用者に対して事例調査(予備調査)を行った。 予備調査をとおして明かになったことは、問題発生の早い時期から、親子を分離することなく家族ぐるみでの公的・私的機関施設による介入(援助)は、それぞれの機関・施設が特別なケースに対して極めて個別的に行っていることであった。この介入(援助)が普遍的なシステムとして確立していないことから、多くの場合、問題が深刻化してから児童の福祉を守るために、問題の家族から引き離し施設等に入所させる措置をとってきている。そのため各々の児童は養護問題の根本的な解決をみないままに成長し、自立に向けて努力しながらも、現実の社会のなかで困難に遭遇するものも少なくないのが実情であった。特に今年度の自立援助ホーム利用者(15歳〜20歳)57名の事例調査では、その入所経路が養護施設からの依頼10名、非行等があり家庭裁判所からの試験観察による委託8名、児童相談所からの依頼19名、福祉事務所9名、婦人相談所2名、保護観察所2名、その他7名といったように多岐にわたっており、そのいずれもが乳幼児期からの問題が未解決のまま現在に至っていることが明らかであった。親等の家族による支援が希薄なままでの彼らの社会での自立の困難さが容易に予測されることからも、彼らの問題の早期に親子ぐるみ、家族ぐるみで何らかの援助が与えられ、問題の解決が図られていることが最重要課題として再認識された。
|