研究概要 |
本研究の目的は,理学療法教育における臨床実習教育において,理学療法評価過程での臨床的意志決定をどのように教育しているかを調査し,学内教育における臨床的意志決定過程に関する教育との比較を行い,臨床現場と教育現場との相違点,共通点を明らかにする。その結果から,理学療法教育における臨床的意志決定の教育モデルを提起し,理学療法教育に反映させることを目的としている。 3年計画中の研究初年度は,学内教育における理学療法評価過程の臨床的意志決定に関する教育について,質問紙による郵送調査を理学療法士学校養成施設「理学療法評価」担当科目の教官に対し行い,その実態把握を行うことと,前述の担当科目教官および臨床実習施設指導者から一部抽出し面接調査を行い,調査項目や臨床実習施設の絞り込み方法の参考資料とした。 郵送調査の結果は,全国97の理学療法士学校養成施設中回答の得られた40施設の教官の回答では,約9割の教官は,総論の中で理学療法評価過を教育しているが,問題点の抽出,理学療法目標・プログラム設定などの決定過程については,同科目では教育していない。学内教育のどの科目で教育しているかについては,臨床実習教育で症例を通してが最も多く,次は理学療法技術論・同実習,類似の疾患障害別理学療法の授業のなかでというものであった。学内教育の場合でも,具体的症例(紙上患者や模擬患者を含む)を通してというものが殆どであった。抽出した数施設の教官と臨床実習指導者への面接及び電話調査から,臨床的意志決定過程については学内教育の場合には科目というよりも具体的教育を知ること,臨床実習指導者については多様な方法が採られていることが明らかとなった。
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