研究概要 |
今年度は,具体的に疾患や障害を想定し,理学療法評価過程の意志決定過程に関する面接調査を実施した。この面接調査においては,現在のところ,私立専門学校などの3・4年制の養成施設のいくつかでは,学内において意志決定過程に関して独自の教育プログラムを実施している傾向が見られる。これは,各専門学校養成施設は,現存する3年制短期大学,4年制大学と比較し,学生の学力や設備,教員数等の面において不足の面があり学内教育と臨床教育の相互関連や,総括的学習が困難な面もあるため,臨床への早期関与(1年生)から,臨床現場に関わりを深く持ち今後の学習意欲を喚起するカリキュラムへと移行している。また,実習科目でも臨床施設を利用し,直接臨床現場での実習を行うことにより,臨床での検査から治療への過程での意志決定を現実感あるものとして,学習を進めているところもある。これらの科目は今後改訂される指定規則との関係で特に専門・専修学校ではカリキュラムの改正が行われることが予想され,前年度に調査した臨床的意志決定過程に関わる科目の推移を次年度以降確認していく必要が示唆される。 今回,いくつかの4年制大学への前年度からの追加調査として,電話や手紙での調査によると,理学療法の臨床的意志決定に関わる科目内でいくつかの工夫は認められ,臨床実習前に紙上患者として模擬的に理学療法過程,およびその中での意志決定過程を体験する機会を設けている場合もみられた。 専門・専修学校,大学共に意志決定過程に関する理論化とその検証は行っておらず,我が国の理学療法教育の課題の一つと考えられる。また,臨床実習指導者との面接調査においては、指導者が、民族学的研究手法により,学生に対し指導している場面の映像を記録し,それを踏まえて臨床実習指導者と意志決定過程について調査を実施した。これはまだ調査件数がすくないため次年度にも調査を継続し,疾患や障害別指導傾向などにまとめていきたい。
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