研究課題
大学の社会的評価について、評価のあり方に関する研究と、現実的に可能な評価の事例研究とを並行して行い、両者の成果をもちよるアプローチをとった。1. 研究評価は、大学評価の重要な要因のひとつである。研究活動の評価については、事前評価における主観的判断の質を改善することが重要であり、評価の経験の蓄積、研究評価に関する学問体系の構築などが求められる。研究成果の社会的評価については、研究の完了段階における評価と、その段階にいたるまで一連の研究活動を持続するための評価を区別することが重要性であり、社会的評価の前提として専門的評価があるといえる。2. 研究課題の社会的評価を示す事例として科学技術庁が継続的に実施する技術予測調査をとりあげ、予測結果の時間的変化、および予測主体の立場による結果のちがいを分析した。それによれば、予測主体の立場によるちがいは、技術予測課題の重要度の評価において大きく、実現時期の予測においては小さかった。また、対象となる技術の開発が進行してそれが現実のものとなるにつれて、立場によるちがいが縮小する傾向を示した。3. 大学において、とくにすぐれた人材を養成・確保した歴史的事例として第二次大戦中の特別研究員をとりあげ、各人の研究課題、学部・学科・講座などからの採用人数、その時間的変化などを調査し、データベースにまとめた。中間的な分析結果によれば、採用者のなかには戦後に活躍した人物が少なくなく、当初の目的は達成していたように思われた。
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