研究課題/領域番号 |
09410092
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岸田 祐之 広島大学, 文学部, 教授 (10093585)
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研究分担者 |
西別府 元日 広島大学, 文学部, 助教授 (50136769)
三宅 紹宣 広島大学, 学校教育部, 教授 (10124091)
頼 祺一 広島大学, 文学部, 教授 (50033494)
秋山 伸隆 広島女子大学, 国際文化学部, 教授 (60142337)
勝部 眞人 広島大学, 文学部, 助教授 (10136012)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 交通景観 / 文書世界 / 鉄 / 銅 / 銀 / 東アジア / 遺物世界 / 道 |
研究概要 |
本研究は、いわば交通景観の復元のうえに、それと「文書世界」の結合をはかるという点に特徴がある。 徹底した現地調査を行い、その諸記録を検討するなかで地域社会の歴史像を描き出すこと、そしてその根拠となる新しい地域史料の発掘、既刊史料集・文化財総覧等の再点検を、あわせ進めた。対象とした地域は、石見銀山、浜田、温泉津、益田らの日本海地域、北部九州の唐津・平戸地域、南九州の薩摩・大隅地域、琉球地域などであり、それらは中国地域の重要な資源である鉄・銅・銀などの東アジア諸国への流通路にあたる。現地見学によって、貿易・流通に政治権力がどう関わろうとしたか、古代・中世・近世を通してそれぞれの地域の歴史像を描き出しえたことは有意義であった。 また、貿易・流通・交流に関する文献史料は少ないが、青磁・白磁などのいわゆる"植物世界"の資料を蒐集しえたこと、東アジア諸国から運ばれてきた美術工芸品が文献史料の不足を補うものであることなどが確かめられたのは有益であった。 峠の道、河の道、海の道の調査の方法を共同で確認しえたことで、地域社会に関わる文献・遺物・美術工芸品等の史資料の位置づけも進むことになった。 日本は近代になって欧米の新しい技術や文化を受容したが、木研究によって、それにはそれまでの日本の海洋国家としての歴史が基盤になっていたとあらためて確信させるものがあった。 こうした3年間にわたる共同の調査と研究の成果の総合的なものとして、各分担研究者の専門の時代・分野において、それぞれ地域社会における国際交流や国際(対外)認識のあり方について考察を進め、特定の地域社会の歴史像を深めてみた。そうしてこそ、共通の方法論を踏まえた地域社会の歴史像を描き出すことが可能であると思われ、またそれによって個性的な地域の自立度も判明する。現在の東京中心の中央集権的な法制度のもとにおいて「辺境」とされている地域が、歴史上いかに国際性豊かな地域であったか、確認することは、地域史研究のうえに意義深いことである。
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