研究課題
われわれの研究目的は、日本の前近代、特に中世・近世において設定された生産力表示の数値・形態・方法に関する多種多様な資料を、系統的に収集し、その資料的性格の検討を通して、前近代の日本社会を貫く生産力と土地表示の基本原理を究明すること、さらに東アジアおよび西欧との比較検討によって、前近代日本社会の価値表示や数量化の国際的位相を究明することである。そのために初年度の1997年度においては、主として以下の成果を得た。一、鎌倉時代の大田文・図田帳の原本ないし写本の写真版を収集し、その記載方法・字配り典拠などを検討し、研究の基礎資料を得た。二、全員で広島県立文書館・山口県立文書館の毛利氏関係資料を調査し、検地帳の記載方法等に付いての共通確認を得るとともに、とくに毛利氏の御用商人渋谷家の文書からは、貫高・石高などの数量記載上極めて有益な知見を得た。三、近世村落における生産力の把握方法を知るため、肥後藩の大庄屋多田隈家の文書を調査収集した。四、それぞれの分担課題について、資料の収集と研究を進め、研究会を持ち中間的な成果を発表している。
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