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1998 年度 実績報告書

日本中世・近世における生産力表示の系統的把握のための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09410094
研究機関熊本大学

研究代表者

工藤 敬一  熊本大学, 文学部, 教授 (50040473)

研究分担者 松本 寿三郎  熊本工業大学, 工学部, 教授 (40094049)
春田 直紀  熊本大学, 教育学部, 助教授 (80295112)
山田 雅彦  熊本大学, 文学部, 助教授 (90202382)
小畑 弘巳  熊本大学, 文学部, 助教授 (80274679)
吉村 豊雄  熊本大学, 文学部, 教授 (90182823)
キーワード公田 / 大田文 / 検地帳 / 貫高制 / 石高制 / 段銭 / 請負 / 公事
研究概要

本研究は、中世の成立期から近世までの諸段階に設定された生産力・土地表示の数値(国制的数値と個別領主的数値)について、その実態と機能、相互関係を究明し、前近代日本の土地表示の基本原理を解明し、日本の伝統社会の国制的枠組みの特質を考えようとしたものである。
1. 「倭名抄」(廿巻本)以下、大田文にいたる国別田数は、基本的に基準国図登載田(図田)を請負分として国司が起請(契約)したものに規定されたと考えられること。
2. 大田文の個々の所領の田数は、国領は段・歩まで、荘園は10町レベルの概数で示されることが多いこと。
3. 九州などでは国衙から遠い地域に100町単位の田数記載が多く、政治的に作られた王家領郡名荘に顕著である。それは郡の収納物の配分を指数的に表現したものである。
4. 中世後期には大田文の田数(公田)が固定化する一方、在地領主は検注によって課税対象の拡大を図り、銭貨流通の盛行の中で、公田段銭を媒介に領主段銭が成立し、公田体制は貫高制へと向う。しかし、貫高制は一定の展開を見せるが、粗悪私鋳銭の大量流入などによる銭の信用が失われ、米と田地を基本とする伝統的枠組みが統一権力によって全国的に通用する基準として検地を経て再生された(石高制)。
5. しかし、これもいったん石盛が決定されると、収取・知行・格式の枠組みとなり、現実の生産から乖離し、固定化した数値として客体化されるようになる。極端な場合、死者を名請人とする検地帳も作成される。
6. 非農業分野でも領主の要求によって、様々な収取方式が成立するが、ここでも公田のフィルターがかかっている。しかし、非農業分野では土地制度と結びつかない公事がより重要な意味をもつ。

  • 研究成果

    (14件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (14件)

  • [文献書誌] 工藤敬一: "肥後国玉名郡の荘園公領と在地領主" 文学部論叢(熊本大学). 61. 1-38 (1998)

  • [文献書誌] 伊藤正彦: "元末一地方政治改革案-明初地方政治改革の先駆-" 東洋史研究. 56-1. 97-126 (1997)

  • [文献書誌] 伊藤正彦: "中国史研究の『地域社会論』-方法的特質と意義-" 歴史評論. 582. 18-29 (1998)

  • [文献書誌] 小畑弘巳: "大型銭の流通" わが国における銭貨生産-出土銭貨研究会第4回大会報告要旨-. 58-63 (1997)

  • [文献書誌] 小畑弘巳: "清銭の流入と流通" 博多研究会誌. 5. 19-37 (1998)

  • [文献書誌] 春田直紀: "大阪府漁業史" 大阪府漁業史編さん協議会. 97-109 (1997)

  • [文献書誌] 春田直紀: "『日本のはじまり』をめぐって" 歴史評論. 584. 36-50 (1998)

  • [文献書誌] 山田雅彦: "中世中期における市場と権力-12世紀フランドル伯領を中心に-" 社会経済史学. 63-2. 32-56 (1997)

  • [文献書誌] 山田雅彦: "安全護送権と封建制の定立-12世紀フランス王領における王権と領主権-" 文学部論叢(熊本大学). 65. (1999)

  • [文献書誌] 吉村豊雄: "初期大名家における隠居体制と藩主権力" 文学部論叢(熊本大学). 61. 39-67 (1998)

  • [文献書誌] 吉村豊雄: "近世初期地方知行制と知行割替" 日本史研究. 429. 1-31 (1998)

  • [文献書誌] 松本寿三郎: "山鹿郡之内南島与人畜家数御帳" 熊本史学. 74・75合併剛. 53-109 (1998)

  • [文献書誌] 足立啓二: "専制国家史論-中国史から世界史へ-" 柏書房, 282 (1998)

  • [文献書誌] 松本寿三郎(編): "菊鹿町検地帳集(二)" 菊鹿町教育委員会(熊本県鹿本郡菊鹿町), 317 (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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