研究課題/領域番号 |
09410097
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 文俊 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (50261748)
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研究分担者 |
中井 英基 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (70068758)
片岡 一忠 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (50092515)
楠木 賢道 筑波大学, 歴史・人類学系, 講師 (50234430)
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キーワード | 档案 / 文書行政 / 奏摺 / 清朝 / 皇帝 / 官僚 |
研究概要 |
I 文書行政システムと文書の性格 清朝では、明朝の文書制度を踏襲して、正式の上奏文として題本という形式を用いた。高級官僚の記した題本は輔弼機関である内閣にまず届けられ、内閣では大学士らが決裁原案を短冊状の紙片に記し、題本とともに皇帝に呈した。皇帝は最終的な決裁をおこない、その決定が題本の冒頭に で記された後、内閣を経由して各官庁への伝達機関である六科に届けられ、六科では決裁文とともに題本を即日筆写し、関係官庁に送付した。また題本は年末にまとめて内閣に返却され保管された。このため題本は内閣档案に分類されている。康煕帝の治世(1661-1722年)の半ばになると、国政にかかわる情報を高級官僚が秘密裏に迅速に上奏する必要から、奏摺という上奏文の形式が重要案件に対して用いられるようになった。奏摺は臣下が皇帝に差し出す私信が発展したもので、内閣を経由せず、皇帝が直接開封し、奏摺の余白(通常は末尾)に で決裁を記し、官僚に返送した。このように皇帝が自ら決裁を記した奏摺を批奏摺という。官僚は批奏摺を拝読した後、また返送し、返送された奏摺は皇帝の執務室である内延の乾清宮に保管された。このため批奏摺は宮中档案に分類されている。即ち、本研究の中心史料は中央政府保管の行政文書である。 II 文書(档案)の分析 (1)文書形式の分析と確認:秦国経『中華明清珍档指南』(1994年)、張我徳等編著『清代文書』(1996年)を参照して文書分析の作業方法を確認した。本学図書館所蔵の档案マイクロフィルムを通覧して、目録類を参照しつつ全容を把握した。その一端は楠木賢道が紹介した。 (2)具体的作業:財政類のなかから康熙・雍正・乾隆朝の塩政類の奏摺をすべて複写し、満漢合壁の奏摺を調査し、一部翻訳して語彙の対応を検討した。次年度の作業に備えた。
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