研究課題/領域番号 |
09410098
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植村 泰夫 広島大学, 文学部, 教授 (40127056)
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研究分担者 |
水羽 信男 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50229712)
曽田 三郎 広島大学, 文学部, 教授 (40106779)
寺地 遵 広島大学, 文学部, 教授 (60033487)
利光 正文 別府大学, 文学部, 教授 (20105563)
松重 充浩 広島女子大学, 国際文化学部, 助教授 (00275380)
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キーワード | 地域間交流 / 港湾 / 移住 / 地方的新聞 / 世界市場 / 商業流通 / マドゥラ / 地域経済 |
研究概要 |
1、地域間交流の担い手として、商人、政治団体、社会団体などが果たしている重要な役割の実態が明らかにされた。また、地域間交流の経路としての港湾、移住、商業流通、電信ネットワークなどの実情の解明が進んだ。さらに史料の面でほ、近代中国東北における地域間交流の基礎的な史料である地方的新聞「満州日日新聞」社説の利用を進めるための基礎作業が進められた。 2、民族主義運動、政治運動、社会運動、経済活動などが地域間交流の重要な契機をなしていることが解明された。また、それらの運動における中央の方針と地域の実情との関係、経済面では世界市場の変動の規定性と地域経済との関連を通じて、地域間交流と外部世界との繋がりに関する展望が明らかにされた。 3、さらに地域の成り立ちにとって、地域間交流の持つ重要性が明らかにされた。例えば、植村が明らかにしたように、インドネシア・マドゥラは農業的には後進地帯であり、それだけでは相対的に多い人口を支えることができないが、東ジャワとの間の人やモノの流れを通じて初めて地域経済が成立可能なのである。同時に、東ジャワにとってもマドゥラの存在は住民農業や農園などの地域経済成立の上で不可欠の存在である。そして、このことはまた、従来のようにマドゥラを農業面からだけ捉えて後進地域であると評価することが一面的であることをも意味している。このように見ると、地域間交流という視点を導入することによって、地域の評価が変わってくることが示唆される。
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