研究課題/領域番号 |
09410098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植村 泰夫 広島大学, 文学部, 教授 (40127056)
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研究分担者 |
水羽 信男 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50229712)
曽田 三郎 広島大学, 文学部, 教授 (40106779)
寺地 遵 広島大学, 文学部, 教授 (60033487)
利光 正文 別府大学, 文学部, 教授 (20105563)
松重 充浩 広島女子大学, 国際文化学部, 助教授 (00275380)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 地域間交流 / 商業流通 / 民族主義運動 / 港湾 / 移住 / 電信ネットワーク / 世界市場 / マドゥラ |
研究概要 |
地域と地域の間の相互関係には様々な側面があるが、本研究では中国前近代史では軍事や商業流通、中国近現代史における政治・経済、東南アジア史における商業と人の一時的あるいは恒常的移住、政治的社会的交流等の側面からの実態の解明が進んだ。また地域間交流の経路としての船舶輸送、港湾、電信ネットワークなどの実情とその重要性が指摘され、さらに民族主義運動、社会運動、政治運動、経済活動が地域間交流促進の重要な契機になることが明らかにされた。また、中国東北部を対象にこうした研究を進めるに際して重要な地域的史料である満州日日新聞を対象に、社説索引が作成されたことは、今後の研究に寄与するところが大きい。 これらの結果、地域の成り立ちには地域間交流が極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった。例えば植村が明らかにしたように、20世紀初めのインドネシア・マドゥラは農業的には後進地帯であり、それだけでは相対的に多い人口を支えることができなかったが、東ジャワへ労働力と牛、魚などのモノを輸出し、そこから食糧を輸入することによって初めて地域経済を成り立たせることができた。同時に、東ジャワにとってもマドゥラはヨーロッパ人農園や住民農業に不足する労働力を供給する点で、不可欠の存在であった。このことは、従来のようにマドゥラを農業面からだけ捉えて後進地域であると評価することが一画的であることをも意味している。このように見ると、地域間交流という視点を導入することによって、地域自体の評価が変わってくることが示唆される。 「地域間交流」とより大きな地理的単位との間の関係については、経済面では世界市場の変動が地域社会に与えた影響、政治面では運動の中央が地域に及ぼした規定性の側面から解明が進められた。
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